いつの頃からか、道を譲ってくれたりしたときにハザードランプを点灯させるいわゆる「サンキューハザード」が定着してしまっていますね。
もくじ
ハザードランプ本来の用途は?
そもそも、ハザードランプ(非常点滅表示灯)とは、道路交通法においてはどのような用途で使用するものなのでしょうか?
法規を調べてみました。
道路交通法第18条
「幅5.5メートル以上の幅がある道路で停止・駐車している時はハザードランプまたはランプをつけなければならない」
幅5.5メートルの道路ってほとんどの公道が該当すると思います。
つまり、道路上で停車しているときはハザードランプ等を点灯せよという事が法律で定められています。
道路交通法第26条
「通学通園バスは小学校の児童、生徒または幼児の乗降の為に停車している時は、車両の保安基準に定める非常点滅灯をつけなければならない」
通学通園バスに限定しているのは謎ですが、道路上で停車して乗降中は非常点滅灯が必要ということも法規で決まっています。
自動車先進国のアメリカでは、スクールバスには特別な信号がついていますよね。
上記からわかるように、ハザードランプは車道で自車が停車等による状態の際に後続車へ注意を促すためのものです。
ですので、タクシー等が客の乗せ降ろしのため駐車するときに使用するハザードランプは本来の用途と言えます。
また、高速道路上等で渋滞発生を見つけたときにハザードランプを点滅させて後続車に知らせるよう呼び掛けられていますがこれも「危険を知らせる」という事故防止の観点でとても良いことだと思います。
サンキューハザードはいつから?
私が教習所で最初の運転免許を取得したのはまだ16歳のときでしたので20年以上前のことです。
その頃はまだサンキューハザードの文化は広まっていなかったように記憶しています。
では、いつから道を譲ってくれたらハザードを点灯するようになったのでしょうか?
鍵は大型トラック
大型トラックは運転席にいる運転手の顔が見えないので意志疎通が難しいです。
その為、昔からの慣習で方向指示器やライト、ハザードランプ、ホーン等を駆使して昔から意志疎通を測っていました。
あくまで、大型車同士での合図であったように思います。
速度リミッターの義務化
その大型車に速度抑制装置装着が義務化されたのが2003年の9月です。
速度抑制装置(速度リミッター)とは、90km/h以上速度が強制的に出ないようにする装置です。
この速度リミッターが装着された大型車は高速道路でみーんなほぼ同じ速度でしか走行てきないようになりました。
そうなると、高速道路では少しで早く目的地へ到着するために速度リミッター上限でみんな走るようになります。
速度リミッター装置車が一旦速度を落としてしまうと速度を上げて取り戻すことが不可能なため、車線変更してくる車両に対して譲る意志があっても減速はしたくありません。
そこをわかって大型車同士は狭い車間でも合流してきて、お礼にハザードランプを点滅させるというパターンが発生します。
高速道路で頻繁にこの光景を速度リミッター義務化以降見るものですから、一般車も真似しはじめたのがこの時期でした。
それから現在に至ってこの慣習は続いています。
本来の意味が薄れてしまってる
私がサンキューハザードを使うべきではないと考えているのは、本来の意味である「非常停止」や「後続車へ危険を知らせる」といったことがわかりにくくなっているからです。
あまりにもサンキューハザードを多用するものですから、本当に危険を知らせようとしているのかを判断しなければならなくなってしまっています。
一瞬の判断遅れが追突事故等につながることもあると思うので、運転者みんながハザードランプを見て無条件に「危険」「注意」と認識できる風習であるべきです。
もちろん、状況を見ればその時のハザードランプの意味はわかるのでしょうが、判断を誤って停止しようとしている車両をサンキューハザードと勘違いして追突事故になる可能性だってあります。
サンキューハザードは不要にしませんか?
サンキューハザードはしなくても良いのではないでしょうか?
感謝の表現は別の方法で
道を譲ってくれるときに運転者の顔が見えれば会釈すればそれで十分ですよね。
顔が見えない合流時に譲ってくれるときもありますが、日本では常識的な合流の仕方をすれば譲るのが当たり前になっていますので感謝の気持ちだけ持てば良いと思います。
むしろ、譲った方がサンキューハザードを期待してしまっている世の中になっている感もあるのでそっちの方が問題ですね。
サンキューハザードよりもスムーズな運転を
普段運転しない方が多い週末などはサンキューハザードを出すことに気を取られてスムーズな合流→加速がされずに渋滞原因を作っている車もよく見かけます。。
サンキューハザード操作するよりもスムーズな運転をして欲しいと思ってしまいます。
サンキューハザードをしなくて煽られたりというニュースも見たこともありますが、ドラレコが普及してきているので煽り運転者はちゃんと罰せられるようにもなってきています。
ちゃんと国が指針を出すべき
いろいろ書きましたが、サンキューハザードは本来の用途ではありません。
どうしても感謝の意志表示を出す風習を残したいのであれば国が主導して自動車メーカー共同でハザードランプとは別の「Thank you」表示機能を車両後部に作って規格化して欲しいです。
少なくとも、現道交法にはサンキューハザードのルールは明記されていません。
しかし、今や教習車までもサンキューハザードをしているのを見かけるのでちゃんと法律を整理すべきだと思います。
日本国外の運転慣習ともうまく調和できるようなハザードランプの使い方が望ましいですね。
まとめ
サンキューハザードについてみなさんはどう思われるでしょうか?
私はハザードランプを本来の用途以外では使用しないようにしています。その方が事故リスクが低いと考えていますので。
感謝の気持ちは会釈や手での合図による意志表示で十分です。
そもそも、私のバイクではハザードランプがありませんし。。
サンキューハザードするしないはそれぞれですが、譲ってもらって感謝しない人はいないと思いますので自分が譲った時もサンキューハザードは期待しないようにしています。
個人的にはサンキューハザードの慣習は無くなってほしいと思っていますが、難しいのかもしれませんね。
いずれにしてもトラブルや事故にならないようなスムーズな運転を心がけることが大切ですね。