7月28日、BYDの軽EV「RACCO(ラッコ)」が正式に発表されました。価格は214万5000円から。
実はちょうど1年前、この軽EVがどんなクルマでいくらになるのかを予想する記事を書いています。まずはその答え合わせから始めます。
そのうえで、BYD RACCOの価格と燃費、航続距離をホンダN-BOX、日産サクラと並べて比べてみます。我が家はBYD ATTO3に乗っているので、その視点も混ぜながら見ていきます。

主要グレードを1枚の表で比較
価格は税込。(横にスクロールあり)
| 項目 | RACCO 200 | RACCO 300Plus | RACCO 300Premium | N-BOX 標準ボディ | N-BOX カスタム | N-BOX カスタムターボ | N-BOX ジョイ | N-BOX ジョイターボ | サクラ X | サクラ G |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 車両価格 | 214.5万 | 239.8万 | 249.7万 | 176.9万 | 199.4万 | 243.7万 | 198.1万 | 245.6万 | 259.9万 | 299.9万 |
| CEV補助金 | 15.0万 | 15.0万 | 15.0万 | なし | なし | なし | なし | なし | 58.0万 | 58.0万 |
| 補助金後実質 | 199.5万 | 224.8万 | 234.7万 | 176.9万 | 199.4万 | 243.7万 | 198.1万 | 245.6万 | 201.9万 | 241.9万 |
| 最高出力 | 64PS | 64PS | 64PS | 58PS | 58PS | 64PS | 58PS | 64PS | 64PS | 64PS |
| 最大トルク | 160N・m | 160N・m | 160N・m | 65N・m | 65N・m | 104N・m | 65N・m | 104N・m | 195N・m | 195N・m |
| 電池容量 | 22.40kWh | 35.84kWh | 35.84kWh | — | — | — | — | — | 20.0kWh | 20.0kWh |
| 燃料タンク | — | — | — | 27L | 27L | 27L | 27L | 27L | — | — |
| 電費(WLTC) | 120Wh/km | 124Wh/km | 124Wh/km | — | — | — | — | — | 124Wh/km | 124Wh/km |
| 燃費(WLTC) | 70.8km/L相当 | 68.5km/L相当 | 68.5km/L相当 | 21.6km/L | 21.6km/L | 20.0km/L | 21.6km/L | 20.0km/L | 68.5km/L相当 | 68.5km/L相当 |
| 航続距離 | 210km | 320km | 320km | 約583km | 約583km | 約540km | 約583km | 約540km | 180km | 180km |
まず表の見方です。
- 色を付けたセルは、その項目でいちばん優れている値。最高出力は4グレードが64PSで並ぶため色なし
- EVの燃費は、自宅充電20円/kWh・ガソリン170円/Lで計算した燃費換算値(計算の中身は記事の後半)
- N-BOXの航続距離は、WLTCモード燃費に燃料タンク容量27Lを掛けた計算値
この表から読み取れること
- 標準ボディのN-BOXに両側電動スライドドアと9インチナビを付けると206万4000円。RACCO200の補助金後199万5000円を超える
- 満タンで583km走れるN-BOXは、長距離の自由度でまだ有利
- RACCOの300系は320km。日常の買い物と送迎なら、週に1回の自宅充電で足りる
この記事の出典
- 価格:BYD RACCO スペシャルサイト/Honda公式ニュースリリース(2026年7月16日)/日産公式ニュースリリース(2026年4月16日)
- 諸元:BYD公式 RACCOラインアップ/Honda公式 主要諸元表(PDF)/日産公式 諸元表(PDF)
1年前の予想と答え合わせ
1年前に書いた予想記事では、価格を229万円、補助金を少しもらえて実質199万円と書いていました。
実際は214万5000円で、補助金適用後は199万5000円。実質価格はほぼドンピシャでした。
外したのは車名でした。K-POD、Medaka、Fairy、SeaCatと並べていましたが、正解はRACCO(ラッコ)。海洋生物系という方向性だけは合っていました。

RACCOの価格をN-BOX・サクラと並べてみた
RACCOの価格は214万5000円〜
正式発表された価格は214万5000円から249万7000円まで(税込)。全グレードが2WD(FF)です。
CEV補助金は全グレード一律15万円。いちばん安いRACCO 200は補助金適用後199万5000円で、200万円を切ってきます。
グレードの分かれ目は電池の大きさです。
200が22.40kWhで航続210km、300Plusと300Premiumが35.84kWhで320km。25万3000円の差で航続が110km伸びる計算になります。
300Plusと300Premiumの差は9万9000円で、こちらは装備の差です。300Premiumには運転席6Way電動調整や足元投影ガイド付きハンズフリースライドドアが付きます。
近所の送迎と買い物だけなら200で足ります。ただ、価格と内容で考えると私は300Premiumが本命だと思っています。
N-BOXはFFで176万8800円から
2026年7月に改良されたN-BOXは、FFで176万8800円から245万6300円までのレンジです。
4WDはここからおおむね14万5000円ほど高くなります。
ガソリンの軽が安いのは入口だけで、装備を求めていくと普通に240万円を超えます。
RACCOの300Plusが239万8000円、補助金適用後で224万8000円ですから、真正面からぶつかる価格帯です。
サイズ感が一緒なので、自宅充電できるN-BOXと考えるともう理想的すぎます。N-BOXを買う人は、先入観なしにRACCOにも乗ってみたほうがいいと思います。
サクラは補助金58万円が効いてくる
同じ軽EVの日産サクラはXが259万9300円、Gが299万8600円(いずれもFF)。
こちらのCEV補助金は58万円で、RACCOの15万円とは大きな差があります。
補助金まで含めると、サクラXは実質201万9300円。RACCO200の199万5000円とほぼ並びます。
車両本体では45万円もRACCOが安いのに、補助金を入れると互角。43万円の補助金差がそのまま効いてきます。
これは、下駄履かせてもらって同等とは技術力の差ですかね。
出力は横並び、トルクはEVが圧倒
軽自動車は自主規制で最高出力64PSが上限なので、そこは横並びになります。RACCOもサクラも47kW(64PS)で、N-BOXのターボと同じ数字です。
出力は同じでも、トルクはまるで違います。
RACCOはNAのN-BOXの2倍以上で、しかもEVは発進の瞬間から最大トルクが出ます。数字の差以上に体感差は大きいはずです。
サクラの195N・mにはRACCOも届いていませんが、この領域は日常の街乗りではどちらも十分すぎるところでしょう。
バッテリーは200が22.40kWh、300系が35.84kWh。サクラの20kWhより大きく、一充電走行距離も210kmと320kmでサクラの180kmを上回ります。
N-BOXは燃料タンク27Lで、WLTCモード燃費から計算すると満タンで540〜583km。この差はまだ大きいので、長距離を走る1台目に据えるかどうかは冷静に考えたいところです。
自宅充電なら燃費換算70km/L相当
車両価格の差を最後にひっくり返しにくるのが、走行コストです。
我が家のATTO3で自宅充電のコストを計算した記事があるので、同じ前提でRACCOを計算してみます。電気20円/kWh(関西電力の夜間料金)、ガソリン170円/Lです。
RACCO200の交流電力量消費率は120Wh/km。1000km走るのに120kWhで2400円です。同じ金額で入るガソリンは14.1Lなので、燃費に直すと70.8km/L相当になります。
300系は124Wh/kmで68.5km/L相当。バッテリーが大きくなっても走行コストはほぼ変わりません。
サクラも交流電力量消費率は124Wh/kmなので、走行コストはRACCOの300系と同じです。EV同士なら、ここで差はつきません。
対するN-BOXはWLTC 21.6km/L。1000kmで46.3L、ガソリン代は7870円です。
RACCO200とN-BOXの差は1000kmあたり5470円。年に1万km走るなら、年間5万5000円ほどRACCOが安い計算になります。5年乗れば27万円。車両価格の差がここで削られていきます。
もちろんこれは自宅の夜間電力で充電できる人の話です。単価が倍の40円/kWhになれば燃費換算も半分になりますし、外の急速充電を主に使うならガソリン車と大差ない、場合によっては高くつくこともあります。
このあたりは以前ATTO3で計算した記事に詳しく書いています。

自宅に充電環境があるかどうか。RACCOを検討するなら、装備でも価格でもなく、まずここが分かれ目になります。
表に出てこないメンテナンスの差
もうひとつ、表には出せないけれど効いてくるのがメンテナンスです。
EVにはエンジンオイルもオイルフィルターもありません。点火プラグもエンジン用のエアクリーナーも要らない。回生ブレーキが効くぶん、ブレーキパッドの減りも穏やかです。
我が家のATTO3は、2023年に納車してから一度もオイル交換をしていません。そもそも交換するものがないからです。
初回車検も自分で通して1万9950円でした。内訳は自賠責保険1万7650円と検査手数料2300円だけ。EVは重量税が免税になるので、この金額で済みます。

もちろんタイヤもブレーキフルードもエアコンフィルターも要りますし、点検は変わらず必要です。それでも、オイル交換のたびに数千円から1万円が出ていくガソリン車と比べると、年単位で積み上がる差は小さくありません。
車両価格の差を見て「やっぱりN-BOXかな」となったときに、この部分が計算に入っていないことは多いと思います。
どう選ぶかを整理してみる
補助金まで含めた実質価格は、RACCO200が199万5000円、サクラXが201万9300円。ほぼ並びます。
ただしサクラはヒンジドアで、航続距離は180km。スライドドアが要るなら候補から外れます。
装備を揃えたN-BOXは240万円台に届きます。両側電動スライドドアとナビを標準で積んで補助金適用後224万8000円のRACCO300Plusは、そこに正面からぶつかる位置にいます。
自宅充電ができるなら、RACCOはかなり強い選択肢だと思います。走行コストの差が年間5万円級で効いてくるからです。
逆に、4WDが要る、長距離を走る、数年で手放してリセールを取りたい。このどれかに当てはまるなら、N-BOXを選ぶ理由はまだ十分に残っています。
そのうえで、EVに乗ったことがない人にひとつだけ伝えておきたいことがあります。
ガソリンスタンドへ行かなくて済むのは、想像以上に楽です。
帰宅してケーブルを挿すだけで、翌朝には満充電。給油のためにわざわざ寄り道する時間も、寒い日に外で給油口の前に立つ時間も、まるごと消えます。ATTO3に乗り始めて、いちばん生活が変わったのはここでした。
数字で比べているうちは出てこない部分なので、EV未経験の方こそ一度体験してみてほしいと思います。
この記事では価格と走行コストに絞りました。装備比較はまた別記事で書こうと思います。
